「聖霊の働き」 イザヤ書 11:1~5

深谷教会ペンテコステ礼拝2023年5月28日
司会:廣前成子姉
聖書:イザヤ書11章1~5節
奉唱:「輝く日を仰ぐ時」聖歌隊
説教:「聖霊の働き」
   法亢聖親牧師
讃美歌:21-343
奏楽:小野千恵子姉

 説教題 「聖霊の働き」  イザヤ11:1~5

 「その上に主の霊がとどまる。知恵と識別の霊、思慮と勇気の霊、主を知り、畏れ敬う霊。彼は主を畏れ敬う霊に満たされる。」(イザヤ11:2、3)
 本日は、聖霊降臨日(ペンテコステ)です。皆様と共に礼拝を持って聖霊降臨によって主の体なる教会がこの世に打ち立てられた日をお祝いいたしましょう。また、私たちが救われ、主の体である教会の枝とされた目的について聖書に聴いてまいりましょう。
 本日のみ言葉は、預言者イザヤのメシア預言の一つです。メシア(キリスト・救い主)は、主の霊・父なる神の霊が宿り、神の力と知恵を持って救いの御業を行われるとの預言です。実に、この預言の通りこの世に遣わされた御子イエス・キリストは十字架において救いを完成され、死と罪を打ち砕き復活されました。その後、天に昇られ神の右に座され、今は聖霊となられこの世に降り、この世を導いておられます。

〇 聖霊の働き

 キリスト教では、聖霊の働きを重視します。聖霊とは、どういう働き・機能を持つものなのでしょうか。主イエスご自身が聖霊を「真理の御霊(パラクレートス)と呼び、弁護者・慰め主・癒し主、そして導き手である」(ヨハネ14章)とおっしゃっておられます。
 真理の御霊、それは、人生の究極目標を示してくれる気、生きる工夫・知恵を与えてくれる気と言うことができるでしょう。日本人や中国人は霊というより気功の気と表現した方が分かりやすいのかも知れません。そして、それは、人生の目標や生きる工夫、知恵を実現させてくれる力・ギリシア語のデュミナス、英語のダイナミック・生命力と言い換えることができると思います。一言で言いますと、聖霊とは英語の「キャン・できる」という力と言うことができます。
 旧約聖書においてユダヤ人たちは、聖霊を活かす息・ルアッハ(創世記2:8)、生命、油注がれた恩寵(恵み)として受け止めていました。
 新約聖書においては、聖霊はもう一歩進めて結び付ける存在(コミニュオン)即ち、愛としてとらえるようになったのです。神の命、私たちを活かし結び付け、全人類が平和に生きていけるように導く力を聖霊と言うのです。
 新約聖書では、愛、神の愛をアガペーと言います。アガペーは、エロース・人間の愛のように自己に根差した奪う愛、相手を支配する愛、見返りを求める愛、利用する愛、限界のある愛と相反する愛です。つまり、与える愛、仕える愛、無償の愛、従う愛、永遠の愛です。そして、この神の力である聖霊、神の愛はこの世を支配し導いているのです。目には見えませんが、確かにこの世(この現実の世界)で、人間の歴史を導いているのです。神さまの創造の業は、今もなお続いているのです。神の創造の業は、全人類の救いの完成の時まで続くのです。終末は、神の創造の業の完成の時、神の国とこの世が一つとなる時なのです。ヨハネの黙示録を詳細に読んでいきますとそのことが分かります。決して世の終わりは、世界の破壊・滅亡の時ではないのです。
 主イエスが山上の説教の中で「平和を造りだす者は幸いです。彼らは、神の子と呼ばれるであろう。」(マタイ5:9)と言われているように、キリスト者は神の子、つまり平和を造りだす者なのです。私たち世の教会は、神を父と信じ神と結びつき、隣人と結びつき、分裂のあるところには和解の使者として遣わされていくのです。そして、自分も含めて人々が、家族が、平安に平和に過ごせる社会と世界を築くためにこの世に立てられているのです。世の終わりは、神の力・聖霊によって神の国とこの世が一つとなる救いの完成の時です。

〇 聖霊の働きをどのようにして知ることができるのでしょうか。

 聖霊の働きを人は、どのようにしたら知ることができ、実感できるのでしょうか。
 聖霊は、まず「良心の声」として働いておられます。私たちは時々、どうしたらよいか迷い、困るときがあります。そのような時、聖霊は「良心の声」として私たちに導きを与えてくださるのです。また、聖霊は、私たちが自分の限界を感じる時に働いてくださるのです。パウロが告白しているように神の力は、弱い所に働くのです。せんかた尽きた時に働くのです。体力や能力の限界、また人間関係の煩わしさを感じお手上げになった時、限界、行き詰まりを通して、私たちは神と人にまかせていかなければ生きられないことを悟るのです。私たちの神、父なる神は、共に生きてくださる、インマヌエル(神我らと共にいますの意)の神です。人の子としてマリアから生まれ、地の民と共に生き、私たちの重荷を共に負い続けてくださる神です。今は、復活の主イエス・キリストは、聖霊となられて私たちを守り、祈りに耳を傾け祈りに応えてくださいます。聖霊は、私たちに寄り添い、神と共に生きる、隣人と助け合いながら共に生きる共生=コンパッションの生き方へと私たちを導いてくださるのです。
 本日の聖句に、「その上に主の霊がとどまる。知恵と識別の霊、思慮と勇気の霊、主を知り、畏れ敬う霊。彼は主を畏れ敬う霊に満たされる。」(イザヤ11:2、3)とありますように、聖霊は、私たちをキリストにより、神の子として生まれ変わらせ、神を畏れ敬う心を与え、どんな困難にも、どんな悲しい出来事に遭遇してもそこから立ち上がる、その問題を打開し、乗り越えていく知恵と勇気、そして必要に応じて出会い、助け手を送ってくださるのです。それが聖書の言う聖霊の働きです。
 旧約聖書は、聖霊を次のようにとらえて来ました。「この世・万物を創造し、生命を創造し、これを維持させ、活性化させるエネルギーを、聖霊(神の霊・プニュウマ、ルアッハ)の働き」としてとらえてきました。すべての存在の源である神は、この世のあらゆるものを創造され(バラー)、それらを祝されました。その祝福されたあらゆる存在物を祝された創造目的にかなうように機能させていく働きが聖霊です。

関連記事

PAGE TOP